嘔吐
誰もが吐いた経験があるかと思いますが、原因は様々です。
一番多いのは胃腸炎による吐き下しでしょう。脱水の予防のため、水分摂取を勧めますが、ミネラルの入ったスポーツドリンクやOS1などの経口補水液がおすすめです、スポーツドリンクは少し、糖分が多いので、薄めるのも良いかと思います。吐く時に、飲めないこともありますから、その時は、病院で点滴をします。吐き気止めを点滴内に入れたり、処方したりします。
めまいの時にも吐くことがあります。日常でよく経験するのは、良性発作性頭位眩暈症という耳の内側(三半規管)の問題のめまいがありますが、吐くことも多いです。頭の疾患、脳出血や脳梗塞、脳腫瘍、脳炎、髄膜炎でも吐くことがありますから、頭のCTなどで精査し、制吐剤点滴などをします。
意外に多いのは、尿管結石や胆石などの石系統の症状としての嘔吐です。救急で、痛み、嘔吐とくれば石を疑います。
急性アルコール中毒で吐くのも救急現場ではよくあります。泥酔で手に負えない状態の人は困りますが、自分の過去を顧み、優しくするようにしています。社会勉強ですね。
抗がん剤治療などでの嘔吐には、あらかじめ制吐剤が投与される場合もあります。麻薬系消炎鎮痛剤(モルヒネなどのオピオイド)も嘔吐を引き起こすことで知られています。
アルコール、抗がん剤、オピオイドなどは大きく分類すると、薬物による嘔吐となります。
勿論、消化器疾患として、腸閉塞では嘔吐がつきものです。腸が詰まっている訳ですから、出口は口からになります。腸でなくも、食道、胃に通過障害があれば吐くわけです。検査で確認しましょう。
忘れてならないのはつわりです。昔、研修医の頃、女性を診たら妊娠を疑えという戒めがありました。嘔気、食欲不振の女性には妊娠の可能性を聴くことは大切です。
それ以外にも、色々な炎症、あるいは炎症以外の疾患に伴って、嘔吐してしまうことがありますから、原因は千差万別です。精神的な問題で嘔吐することもありますから。